下り坂駅手前停/加藤泰清
しろくさんの呼び声に
はっ、とふりかえってみた私
まっすぐな一本道に
やあ、たくさんのあおくさん
きゃつらの群れに一膳だけまじっているしろくさん
なじみのお客のように
やあ、ふるまっている
おそなえものはかびたお線香でよろしいですか「?」
その問いにしろくさんはだまりこんで
ぺっ、とつばをはきました
彼のひょろい二本足はゆうひをきらい
また影をふんづけた
いたい「!」
たくさんのしろくさんが
ゆうひに染まってあかくさん
あおくさんはむらむらいやん
たびたび考える私
ゆうひがどこかへ旅立ってしまうときがきたら
きゃつらはどうなるのでしょう
はっ、もういない
かびたお線香のすっぱいにおいが
うすらあかるい一本道をくすぐりぬけていきました
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