さようなら卒業証書/ゆりこ
黒い筒の中に入った卒業証書を昨日
僕はうちへ持って帰った
そいつは本当は
日の目をあびていたいんだろうけど
丸まって黒い筒に収まっているのが一般的で
そいつは本当は
沢山の視線を浴びたいんだろうけど
多分浴びるのは湿気った空気ばかりなわけで
そいつは本当は
僕の部屋の押入の中に思い出として置かれ
忘れられることを恐れているんだろうけど
実際問題 いつまでも思い出にしないわけにはいかない
だから
さようなら 卒業証書
僕は君をなるべく忘れない
僕の名を記した君が 僕の歴史にあることを
さようなら 卒業証書
僕は僕の歴史をなるべく忘れない
砂
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