夜間飛行/恋月 ぴの
「あら、どうしても扉が開かないわ」
これまで幾度となく国際線を利用してきたが
経験したことの無い強い衝撃に突然見舞われた
それは、俺に跨っていたCAにしても同様らしく
膝下までずり下げた下着を直そうともせず
必死の形相でトイレの扉と格闘している
ただでさえ狭いジェット機のトイレの中にふたり
二度三度と繰返す衝撃に体を壁のあちこちにぶつけて
いったいトイレの外はどうなっているのだろう
CAとダークスーツを着た男が狭いトイレの中
しかもCAの白桃のような下半身は露わなままで
間抜けすぎて誰にも見せられたものじゃない
散々躊躇はしたものの俺はついに手を伸ばした
エマージェンシー
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