★36 マボロシ/貴水 水海
 
この道を通ると

君を想い出す

君は本が好きで

いつも本を抱えて角の本屋から出てきた

本で手がふさがってると

にこっと笑った君

手を小さく振った僕

君は幻だったのかい

別れるために

出逢ったわけじゃない

傷つけあうために

互いを抱きしめたわけじゃない

君は幻だったのかい

2人の物語を

僕の心にだけ

置き去りにして

消えた

この道の

角の本屋を曲がると

もう君はいなかったね

戻る   Point(2)