君に会いに行くために海へ行く/海月
 

それでも僕は探してしまい
君の粉を帰した海へ来てしまったのだろう
励まして欲しかった・・・
愛して欲しかった・・・
本当に微かな希望を抱いて
海水を掴み手から滑り落ちた

助手席に寝転がり見上げた
月の輝きの切なさ
君の最後の微笑みに似ていた気がして
僕は忘れるべき君の事を思い出した
ラジオのチューナーを廻して聴こえる曲
最初で最後のラブソング
お互い歳を取っても傍にいられる
と、うろ覚えの詞を独りで口ずさむ

夜空を一途に流れ星は落ちた
帰るべき所へと君は向かったのだろう
言い聞かすのは自分自身
曲は終わりを告げて
ラジオからは砂嵐の音が響くだけ・・・
あ・・・り・・が・・とう・・
と、砂嵐から聞こえた気がした
それは君なのだろうか
それとも僕が呟いただけなのか
その答えは今も解らずに車(ぼく)は家路を辿る



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