潮騒/室生
 
三日月を食べた夜は
騒騒と 潮騒が耳鳴りのようで
蹲る僕を灰色の目が見ていた

薄暗い闇の中で浅い海を畏れていた

三日月を呑み込んだまま
灯台の灯りを見続けていたけど
胃の中で、光が死んでいくような気がした

せめて心臓が太陽の代わりになればと
意識で鼓動が高鳴った

立ち上がり僕は浅い海に侵入る

(魚のようだ)

僕は呟き 光に溺れた

それはまるで灰色の目の。
戻る   Point(4)