しん君と僕。/仲本いすら
鳴ったと同時に外に飛び出して
どこかへ行ってしまう
まるでそれは僕から逃げてるみたいだった。
しん君は戻ってくるのもはやい。
チャイムが鳴り終わる前にすっと戻ってきて
また机をバンバンする
僕はちょっとだけ泣きそうになる。
しん君は重い病気を抱えている。
だけどいろいろな考えを持っていて
僕から逃げようとするし
ボールを貸してもらえないと泣きそうになるし
みんな、生きてるんだよな。
差別と区別の違いってことばが
頭にぽわーっと浮かんできた。
しん君はまた机をバンバンやっている。
泣きながら、なにかを叫びながら
叩いている。
僕は頭を撫でることしかできなかった。
頭を撫でるだけで、世界が平和になればな
と、思った。
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