夜の子供たち/atsuchan69
。左手にあるのは底まであと僅かの酒の瓶。
――ゆっくり行け! 慌てて行くんじゃねぇぞ! テメエラ、屠殺場に向かってるんだろ?
今ここで倒れても悲しむ人すらいない野良犬のごとき生活。
同情を寄せるにも彼はあまりにも不潔すぎるのだ。
街の匂いが今までよりもずっと哀しく感じられた。
それとも、それは僕のセーターに染み付いた去年のにおいだろうか?
ダダダダダ・・・・。工事の音が響いてていた。
わざとつめたい表情で足早にすぎて行くオフィスレディ。そして汗と精液のにおいの染みた背広服姿の男達があらわれては消えた。
僕は腕の時計を見た。
十時四十五分。
約束は十一時。男
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