夜の子供たち/atsuchan69
 




 すくすくと日向にのびはえた高層のビルや、さまざまなカタチの建物が、まるで墓石のならぶ広大な霊園を想わせてずっと何処までも遠くひろがり、マモンの森へむかうクルマのながれは絶え間なくつづく。けして誰も見ることのできない、その輝かしい富の神殿は森の奥ふかく超然とそびえたつ黄金の死のピラミッドだ。

 さわやかな秋の風をうけて、僕はアスファルトの急流をひとりバイクで駆け抜けた。
 目的は金だ! 手段はえらばない。
 僕はバイクを歩道に停め、フルフェイスのヘルメットを外した。
 歩道のすこし離れたところに浮浪者が立っていた。彼はワケのわからない言葉を宙にならべて叫んでいる。左
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