[ 真夏の人魚 ]/渕崎。
 
プールの水底でわたしはじっと空を見上げる

水面は太陽のひかりを反射して
きらりきらきら眩しく輝き
いっそう深く深くにわたしを沈めゆく

人魚になれれば涙も忘れて
このちっぽけな塩素の海に溶けれるのと
笑った人はだれだったかすらもう忘れ
ぷくりぷくりと水面に上がる気泡を眺め
わたしはひとり塩素の海の
孤独孤独な人魚になろうと夢描く

子供が終わる季節が来ては、
わたしのなかの海を汚していくのなら
わたしは塩素の海に沈んで
たった独り孤高の人魚になりましょう
永遠の子供のままで。
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