夏の次の季節/明日殻笑子
 
ひかりの断片がまちまちに彩る景色の
これ以上無い非日常さに腕をひかれたように
散らかった部屋を放ってわたしは外に飛びだした
今日の天気がうすくもりなのか
目にかかるレンズのうすくもりなのか
だけどそんなことはどうでも良いかの如く
彼はぎらぎらと白く強く肌を灼く
きれいなあの人をイメージして
銀色の日焼止めも買っていたわたしだけど
この日の彼にはちりっと非道く
せつない熱を感じて上を見上げたら
憂いをうすめたような笑顔がいやに真摯だから
今日くらいなら と素肌をあずけた


どこまでも歩き続けるとやがて海に辿り着いた
足元だけを夢に濡らした気分だった
その時のまま絡
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