マーチ・マーチ/nm6
たり、うたうたったりした。
うたうたううたうたい、うたうたってうった。
ぼくらうた、うったり、うったりうたうたった。
4.
処女地まで歩く。白い地平線に、遠くとおく。ぼくらは飛び越えてゆくし、はがしてゆく。苦しんでもかまわず、口ずさんでゆく。少しかゆいけれど、それは最短距離だ。あわよくば45度、放物線の按配だ。目の前に見えるもの、ずっと先に見えるもの。入口とか出口とか、そういうのはやめよう。ただ、処女地まで歩くだけなんだ。戻っているんじゃないんだ。さわりごこちを確かめるんだ。ぼくらは飛び越えて、はがして、口ずさむ。行進曲はマーチ。ぼくらはセレナーデ。知らないでゆくのは、ただその、久しぶりの感触のためなんだ。
マーチ・マーチ。
そうなんだってさ。
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