パサヤ・ドニバネには道が一本きりしかない/水在らあらあ
 

もうそっくりで
だってそっくりでその上
あいついっつも母親のオムレツのことばっか言ってただろ
もう母ちゃんのオムレツが一番だって
それが俺には漫画みたいで面白くてなんだかあったかくて
なあボリーお前あのおばさん
ホセのおばさん
お前も知ってるだろよく工房にも
ひどく濃い味の鱈のオムレツ持ってきてくれただろ
お前も食べただろ
その後お前ずっと水飲んでただろう…
そうだよボリーここの人は
人間として正しい気がするんだよ
お前が犬なのが当然のように
ここの人はまぎれもなく人間なんだ
それはこの村に
道が一本しかないのが
それが大事なんじゃあないか

でも

あのおばさんには
俺今日はあえないな
なんていったら良いか
俺のバスク語じゃあさあ…

だからほら、ボリー
今日はもう少し先まで行こう
海荒れてるけど
付き合ってくれよ

チョリソは
全部やるから








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