舞踏/atsuchan69
 
大理石の階段にひびく
 軽い上品な靴音、
歴史の終焉に迫る
クライマックスの指揮と演奏
 
 人物を物語る影はながく、
 溶けだした気の迷いが 時の針を枉げる。

主役はみごとに不在、誰も登場しない物語に

 タップしつづける靴

遣る瀬ないほどに 魅せられるのは、
呪われた 赤いパンプスを履いて 踊る 虚無

透明な空気の踊る 光、華やぐ広間
赤いパンプスが踊り疲れても
抱きしめてやることも出来ない その刹那、

 僕も踊ろう!

一緒に踊るのが せめて礼儀というものさ

古い教えをみごとに破り、新しく
 生まれては死んでゆく 激しさの舞踏

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