異常回路/伊藤透雪
 
冴える。
こめかみから鋭くなる。
加速していく思考の連打、逸脱する前進。
眉間を貫く鈍い痛みが
異常と知らせるけれど、
スピードは止まらない。

私はどうなるのだ?
どこへ向かうのだ?

灼ける網膜、
張りつめる鼓膜、
頭の中は激しいサーキットで
今にもはじけて割れそうだ。

静かに眠らせて欲しいのに、
耳を被い目を閉じても
侵入する刺激で
冴える脳はいっぱいに膨れ上がる。

痛い、
痛いから止めたいのに
サーキットに加担している。
雨が鼓膜から脳へ侵入し
私は少しずつ崩れていく。





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