お風呂と食事のあいだ/山内緋呂子
 
*カンチェルスキスさんとの、連散文です。



前回はカンチェルスキスさん
 「片平と船越のあいだ」http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=8102





誰としても 泣く
「誰と」っても、喜捨(きすて)と会えなくなって五年、二人だけだが。
室内でつくりたての幸せでもあるし、欲にかられないこともないのに。

自分はずっと、喜捨であるからだ。
上の男も下の女も 喜捨だ。
上の毛布の、糸一つ違うぐらいだけど、その毛布ではないことに泣く。

一人で食事をする前に、浴槽にお湯を張る。

女の子の前ではごはんを食べられる
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