ひとつのピリオド/椎名乃逢
 
しなやかに 手折る指先 見とれつつ 翼をもがれ 君に堕ちゆく

漆黒の 壁紙に映ゆ 君の色 時を忘れて なぞる指先

浴室の 戸を開きかけ 頬滑る こぼれ髪の香 君の胸にも

絡まりし 腕(かいな)の如く 我が心 秋の夜長も 短しと拗ね

オリオンの 光る夜空に 爪立てる 消せぬアドレス 恋のかさぶた

月が欠け また満ち足りて 春の宵 最後の手紙 届く窓なし
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