えんぷてぃ・はあと/モーヌ。
何の 痛みも なく 腐乱 して ゆく
( 夏... ) だまっている 唄と 響きは 鎮魂に 傾いて
淡く 奏された オルガンが 田園と 風車の 絃を
かすめ ながら とまらない空 から 伸ばされた 手袋を
すりぬけて ゆくの でした
すると 恒星風に 吹かれて
恍惚も なく 放たれて あった
古拙な 造りの 琥珀の びんの 濃い 放物を
活車する 燐光が 直立する 岸へ
それは もうひとつへの 旅へ と 流れ 着き
木蔭に 残った 水たまりに 映って いる
浮雲が 描いた 戯れの 声たちが
唱される なかを かるく 渡って 咲き
真珠いろの 小鳥たち 真っ青な 飛魚たち が いて
ぼくの まえに 横たわった 赤ン坊の ような 島々 は
有明の ように 静かに まなこを 開けて うるんで いた
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