奇譚 番町ミニカー屋敷/恋月 ぴの
わたし疑われています
あのひとがとても大切にしている
ミニカーがどうしても一台足らないと
夜毎わたしを問い詰めては
狂ったように折檻を繰返すのです
わたし紅薔薇婦人じゃないのに
緋色のロープで吊るされて
団鬼六きどりのあの人に鞭を振るわれて
一度だって触ったことなんかないのに
あのひとに何度も繰返し懇願しても
決して許してくれない
(おまたが…裂けてしまいます
何でも鑑定団で紹介された
あのひとご自慢のミニカーコレクション
(いちだぁ〜い
(にだぁ〜い
(さんだぁ〜い
(…
(きゅうだぁ〜い
嗚呼…やっぱり一台足らない
あのひとが大切にしているミニカー
わ
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