火と 少女は踊る その影を/今唯ケンタロウ
 
火と踊る 少女
薄い幕の向こう側で
遊ぶシルエット

僕は触れることができない
この薄い幕さえ引き剥がすことはできないのだ
音もなく
熱もなく
おそろしく暗いゆめで
見ている
火と踊る 少女の

いやあるいは
もし僕がこの幕を越えてみることができても
そこにはもうきっと何もないのだろう
何もかも

水の
あった
気配がして
少女は何処かに生まれてしまったあとで

すべてが流れ去ってしまった海溝が傷跡のように広がるだけ

僕は
僕の中に
永遠に 火と戯れる少女の影を見ている
焼きついて
離れない

煌びやかに揺れている いつまでも







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