玉響/明日殻笑子
 
『すこしだけ』

『ひとことだけ』

ちいさく幼い言葉をかわして

あの人はずっと遠くに行ってしまった

真珠を通す音だけが聞こえるような

目をとじただけのあかるい闇に


『すこしだけ』

『ひとことだけ』

それは私におかえりと言わせるため?の

あの人がひとつだけ知っていた呪文

微かに蛇の香るまぶしすぎる笑顔

私も待ち侘びて四度目の向日葵
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