君の居た場所/松本 卓也
 
もう何ヶ月か経っているのに
いつまでも追いかけているもの
現実を突きつけられるその時まで
後悔だけを引きずっていて

今どうすべきかなんて
分かるはずがないじゃないか
中途半端な熱を帯びた夜に
飛び乗ったタクシーに行き先を告げる

片道何千円かかるかなんて
そんな事はどうでも良い
かつて君が居た場所に向かう
繋がっていた糸は切れかけているのに

認めたくないけれど
確かに言えることだけはあって
僕が居なくても君は生きている
君が居なくても僕は生きている

君の居た場所にはもう
違う名前が下がっていた
もうどんなきっかけであっても
僕達が出会う術が無い

思い知ったところで
忘れ去るなんてできないから
君が支配していた僕の領域を
食い千切ってしまいたいよ

結局最後まで聞けなかった言葉
終わりを告げる合図も無しに
新しい道など進めるはずもない
君には分からなかったのかな

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