【短歌祭参加作品】団扇あおいで、忘れない夏/逢坂桜
冬の頃 テレビで見つけた温泉に
夏に来たのは 僕一人だけ
この夏の 打ち上げ花火 忘れない
初めて君と つないだ手とね
待っていた 暑中見舞いの返事には
「海に来てます」 それだけですか?
蚊帳の外 薄闇のむこう 白い足
我知らぬまま 恋のはじまり
盆の夜 「しめくくりには これだよね」
線香花火を みなに手渡す
言えなくて 蚊取り線香 仕掛けたよ
朝、見てくれる? 「すきよ」の文字を
{引用=蚊取り線香に鉛筆でなにか書くと、灰に残ってしま
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