いのちの/
杉菜 晃
草の茂みから
木の上へ
さらに
低空から
中空へと舞ふ
一匹の蛍
漆黒にあらがひ
淡く
かぼそき線を曳き
線といふよりは
点滅
・・・・・・・
宇宙の
甚大な闇に
刃向かふ
小さき心臓の震へ
絶え絶え示しゆく
蛍の
いのちの
蛍の
いのちの
蛍の
いのちの
かそけくも
ひたすらなる
いのちの
細き
径
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