【短歌祭参加作品】半裸少年/石瀬琳々
放課後のプールサイドに一人きり石を投げれば割れる太陽
まだ細い腕もいつかはヘラクレス鏡にうつる半裸少年
肝だめし墓場を歩く君とぼく怖くないよと結ぶゆびさき
花火あがる綿菓子くわえ駆けだすよ土手の先には大輪の菊
届きそうで届かぬ星に夢をみるせめて手のひら蚊帳の蛍
海マニア光る波間に飛びこめば何かが足を引っぱってゆく夏
かき氷青いシロップ銀のさじ冷凍都市の甘い誘惑
雷雨過ぐすいか畑の君とぼく痛くないよと交わすくちづけ
入浴剤お風呂に入ってくつろごう温泉気分名湯きぶん
キスの闇ミントの香り熱い舌夜更け夢みる青らむ果実
祭りのあと半裸少年たそがれて夏をかじれば走る夕立
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