詩と/436
 
詩は生きるよろこびをうたう
もちろん死をうたうこともある
生を語るに死を考えぬはずはないから

踏み出せない一歩を踏み出すため
渇かない涙を一時でも乾かすため
ときによろこびを高らかにうたう

言葉だけでは腹はふくれない
腹がふくれるだけでは生きていない
ときに立ち上がる心意気をうたう

詩は捨て鉢の死をうたわない
死は素晴らしき詩をうたわない
世界はときに素晴らしいと知らしめる

詩は生きるよろこびをうたう
もちろん死をうたうこともある
死を知る生こそが詩をうたう


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