破片をあびて/木立 悟
空の青
金の傷
夜と朝が入れ替わる時の
きしむような激しい音が
無色の地平にひびきわたる
空にぶつかるひかりの歌
ひらいた腕にふりそそぐ歌
大きなはじまりの雨にまぎれて
空へもどる光の矢
言葉はとどき 永遠は終わる
歌はただよい 無限を揺らす
雨が見ている夢を歩み
雨を夢みる者を過ぎる
冷えた光の下でさえ
誰も目覚めることはなく
水滴のなかにたたずんでいる
痛いものが降る
風のように来る
空と光の破片をあびて
滴はみんな壊れてゆく
逃げまどうなか
大切なものも
託されたものも
声も姿も消えてゆく
世界は終わっていた
けれども世界はつづいていた
世界は同じだった
けれども世界は違っていた
なにもかもうけいれてわたしはいきます
そんな声を
聞いた気がした
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