灯台/万里
 
薄暗い夕方とよるの狭間
海が近いこの町では天気を海の色で読んだりする
今日は暗い灰色、じきに雨が降り出すだろう
あたしの部屋から見える海は少ししかないけど
毎日違う表情を見せてくれる
その海の真ん中に島があって
小さいけれどちゃんと人も住んでる
そこから発せられる灯台の青い点滅は
きっと海に浮かぶ人たちにとっては大切な光なんだろう

あたしにとっては
世の中が、あたしがちゃんと生きてるしるし
寂しいときに海を眺めるからかもしれない
ゆっくり点滅をくりかえす光は
夜の海の鼓動にみえる
いつだってそこにあって、いつだってやさしく光って
静かにしずかにこっち側を見ているような気がするから

あなたからあたしは見えないだろうけど
あたしはいつだって見ているよ
たくさんの人に静かに道しるべをするあなたが

いつかあなたのそばに行こうと思う
船に乗って、たくさんのありがとうを
伝えるために





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