書かれた−祖母/音阿弥花三郎
正面にお客さんがいた。
こどもはお客さんの目を盗み
家具の隙間に入った。
手持ち無沙汰ではなく
はっきりとした快感に手はペニスに置いておく。
祖母は一部始終を知っていた。
もちろんこどもはそのことに気付いていない。
子供のお使いは同じ物だ。
豆腐 納豆 鼠捕り 犬捕りなどを買いに行った。
祖母への買い物はなかった。
空の買い物籠だけが日中に去り難い。
それで縁側はある。
夜になった。
縁側を這う祖母がいる。
*
先ず死を見に行く
コントロール出来る死を戴く
町角の葬式はゆっくり菓子を配る
ゆっくり犬が血を流している
祖母が死んでいる
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