広き白/明日殻笑子
 
青い青い
つき抜けるほどの無邪気に
為す術も知らぬ明日の窓
罪は無く


忘れてしまいたくない気もちは
錆びた合鍵を持ち続けるよう
網膜の上で切ったシャッターが
今とその日をささえて居る


どこから来て どこへゆくの等と
あたしは本当に意地悪なのに
ここへと来て ここにいるんだ と
頭を撫でる掌の太陽だったこと
「どこへもゆかないで」 と
どこへもゆけそうな君の羽根をむしる
あたしの何が天使なものか


忘れてしまいたくない気もちを
手をつなぐことに例えてみたり
網膜のフィルムは色褪せすぎて
流れる涙さえずっと 透明でいた


青い青い
つき抜けるような無邪気を
残り火と知って夢の跡
罪は無い
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