嘘つき/はらだよしひろ
 
何回嘘をついたかも知れないが

昨日のような自分は
がらりと
じゅるっと
尖がっていて

きのこ雲のような
ものぐさを
からからころりと
病んでいた

見えないものは遠い陽炎のように腐っていたから
切れ切れの隅に蝋燭を立てる
踏み込んだ蟻の行列に
見える自分を重ね着して

間はしばらくとなり
消えることさえ忘れて
存在となる

内つ現の内津なる地
万の時は灯火と森になり
涼やかな影の音が
遠く遠くに
こだまする
戻る   Point(0)