空が高すぎる/八布
 
午後のこんなひとときに
時間のことや宇宙のことや
恐竜のことを考えていると
とたんに瞼が重くなる

今僕がここにいるということ


空気を入れ換えようと窓を開けると
ベランダの柵の間に蜘蛛の巣が張っていて
トンボがそれにひっかかっていた

今僕がここにいるということ


君の名前も顔も
住所も 耳の形も知らないけど
君はこの時代のどこかにいて
この重たげな空を見ているのだと思う


時の水位 その上下に
静かに耳を傾ける
夏休みは長すぎて
瞬きひとつで終わらせることはできない


空が高すぎる

歴史の先端で僕は
ほぼ確実に来る明日を
あくびをこらえて待っている
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