さよならの儀式/狩心
に描かれた沢山の落書きと冷蔵庫に貼られたシールの群れ
子供達の遊び声が今にも聞こえてきそう
でも今日はギトギトの油まみれの部屋
大人の陰鬱なワインの香りが充満している
文字を描きたくない私は
今も妹役の妻に代筆してもらっている
私の口調・・・リズムまで
ちゃんと書かれているだろうか
黒い虫がいる それもウジャウジャと沢山
母に渡すはずだった大量印刷された白い手紙は
グシャグシャに丸めて
足でメッタメタに踏み千切ってやったさ
どうだ
子供が蟻を潰す時の気持ちとは違う・・・
時間は一杯ある ゆっくりでいいの
妻は落ち着いた口調でそう言い
緑色の珍しい
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