とかく雨のふる夜には・・・/終
とかく雨のふる夜には、静かに寄ってくるもんだから気づかないんだ。
昼間、白い階段の踊り場で真っ白に光る空を眺めているような気がしていたんだけど
それは唯、曇りガラスがきれいに磨かれていただけなのかもしれない。
夕べ、うす曇の空を青い閃光が突き刺すようにグレイの四角いでっぱりを直撃しているように見えたんだけど
ただ単に、風にあおられた見習い魔術師が箒から落っこちそうになっただけかもしれない。
とかく雨のふる夜には、黒い鍵盤を叩いていることしかできなかったりするんだよね。
ぴりりと辛い黒胡椒なんかほしくなったりしてさ、寄ってくるものを邪険にもできなくてさ、途方にくれたりなんかもしてみることもあるんだ。
とかく雨のふる夜には、もっと懐かしんだりして感触だけを辿ってみたりなんかもしてみたりすることもあったんだけどな。
とかく雨のふる夜には、洗濯物でも畳んでいるのもいいのかもな。
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