水槽メランコリー/
結城 森士
静かな理科室に
(僕は一人で佇んでいる)
青い蛍光の水槽で
白い水泡がポツポツと…
水槽の音は次第に大きくなって
遂に飲み込まれていく
深緑のカーテンが翻り
階下の音楽室からは何も聞こえない
窓ガラスは闇色に染まった校庭を映す
僕は誰も居ない黒い理科室に立っている
あの少女の笑顔も太陽の光も
今となっては遠すぎる
こんなにもあの日から離れてしまった
僕の目は今でも水槽の中を彷徨っている
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