鳥とともに/nt
んだ奴らの美学、
踏みつけられた肝臓、
血をながす大腸、
毒されゆく脳髄、
ビリルビンは駆けめぐる、
すべてを黄色く染め上げ、
ヴァン・ゴッホの執着よりも燃え!
だが
彼女は自転車に乗り、
私より先に学校へ行ったのでは
なかったか?
五分早く
目覚めたのではなかったか?
二歳ぶんを隔てた、
私の半身、
三十九歳に、
家族らの
脆弱な言葉は届かず、
だれかの赤んぼの声は
届いたらしいよ、
産婦人科の病室で、
二〇〇六年、
六月十五日。
頭骨のかたちのような。
軽さと、
ゆるしがたいもろさを、
私はひろい、
半身の記憶は奏で、
言葉は、
虚空へ
鳥とともに
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