海郷/純太
列車に乗り
外からの赤いランプが
暗い寝台を照らせば
望郷の始まり
そのまま眠りに入って・・・
朝になって乗り換えをして一時間
その後バスに乗り30分
そしてバス停を降りれば
やっと目覚ましの音が響いてくる
ドン ドン
烏賊釣り船のペンドルが
岸壁に当たる音
その音らだ
そしてこの町の暁鐘は
朝一の僅かな海士の行商
地球の気分次第で
沖には対馬が浮かび
サスペンスドラマの中で
罪を犯した犯人が逃亡の果てに
なぜだか捕まってしまう
そんな設定が似合う港町
俺が生まれた港町
帰郷する度に
浜に散らかる
あばが少なくなってきた
ピットに腰をおろし海を見れば
爺ちゃんから泳ぎ方の
スパルタを受けた夏の日が
町全体に広がる
この町も
いつ頃からか昔の思い出を
背負わなければいけない朝を
醸し出してきたな
初めから地図にない港町だから
そんなこと寂しくなんかない
町だろうけど
俺にとっては
昔より大切な
故郷になってきている
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