ある葬送挽歌/唯川
 
ーディオン
きいたことは
あるか

送りだすのに
にぎやかすぎやしないか
なつかしくって
もどってきやしないか

うでをとめて
うえをながむ
たくさんの
おとが
とけているのだ

きこえるかい
きこえて、いるの
ぼくにはみえやしないが
ここにいるから
かなでているから

いつもの席に
マルボロをおいておくよ
あきたらまた来るといい

ぼくは
カフェのはじで
くばっていた風船を
のこらず放ってしまった

こんどはちゃんと拍手できた
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