カレーと夕立/iloha
 
いま、届いた
大陸の先端
盆地のきわに
傾く長屋とともに
伸びていく水蒸気
別院の瓦から青と交わる大気
へと
裂けていく
雷鳴
避雷針を回転軸に
胎動する空
煙る
緑の
その稜線の
嫉妬を
色めく
積乱雲のあいさつを
知らない
ままで
逆光に浮き立ち
あた
たかな気配に包まれながら
星影へと落ちてゆく
山際の街
染みだしてゆく時間、
カレー鍋
を火にか
けながら
、郷愁に衝かれ
ぼくは
泣くだろうか
この
街に
ぼくの存在を
とりもどされながら
鳴り響く空
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