ミンチにされてゆく 白昼/atsuchan69
 
突き刺さる、つよい日ざしが
ハイテク硝子に反射する ビルの高み
嵌め殺しの窓を砕き割ってでも、
落ちてゆく人がいる。

あれは丁度、夏の盛り
カンカン照りの交差点に降ってきた
 肉の塊り
それが僕だとは、露とも知らずに。

クルマたちは停まることもなく
立ち止まる人もなく、
 踏みつけられた肉の塊りが
無惨にも、ミンチにされてゆく 白昼

救急車が、来ない。
救急車は忙しく サイレンを鳴らし
肉の塊りを
さらに踏み潰して走りすぎる。

妻は家事とパートに忙しく、
子どもたちは試験勉強に忙しく、
当の僕は仕事に追われ、
ついさっき 死んだことさえ忘れていた。
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