娘へ/さくらほ
手と手を繋ぐ帰り道
あなたが嫌いなこの田舎
あなたの涙を見るたびに
私の心が裂かれます
「ねえ、星がすごく綺麗だね」
あなたが初めて褒めた田舎は
夜空の星たちでした
そんな言葉が嬉しくて
あなたと夜を歩きます
東京だっていい所ばかりじゃなかったじゃない
いい所悪い所どっちもあって
それでも好きだったように
この田舎だって
悪い所ばかりじゃない
あなたが星を見て
「綺麗だね」というだけで
私はとても嬉しいのです
私はとても嬉しいのです
転居して二年たっても東京へ帰りたがる娘へ
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