単純な歴史には時間が掛かる/狩心
父が去っていく
砂埃が舞い 少しずつ遠い物にしていく
ずっと見つめ 目の痛み
湖から立ち昇る幻想
ああ 父よ ああ 父よ
数ヵ月後に来るはずだった暑すぎた夏
白いシャツ一枚の二人ふらり祭り
団扇持って歩く 寂れた商店街の先
競馬場の花火大会 失っていく
* * *
成人して初めて訪れた暑すぎた夏
二人ふらり祭り 黄昏を呼び込む 最初で最後の夏
暗黒の空に昇り行く希望の光 そこから放たれる爆音
人々の心を貫通していくミサイル
少しずつ 被爆していく
込み上がる思い 伝えられなかった思い
全てアンタにぶつける
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