けだものと子(火の地)/
木立 悟
く
願いが
閉じたまぶたにとどく
遠く 近く
高さと時間は苦く 痛い
いのちは焼け
煙はたなびき
水は生まれ
手のひらに満ちる
空を映し
手のひらに満ちる
履きものを脱ぎ
やわらかさの前へとすすみ出るとき
子のまぶたはほんのわずかに
薄く淡くひらかれてゆく
けだものが
子の手のひらに口を寄せ
朝陽に染まる水を飲む
夕陽に染まる水を飲む
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