春の遠足/たもつ
温かい光の中を
二列に並んだ子供たちが
手をつないで歩いていた
先頭の先生は
ときどき振り向いて
おしゃべりしている子や
ちゃんと歩かない子を注意する
注意された子供は
一番うしろを歩く係の子の
袋につめられた
だんだんと袋はかさばり
やがて抱えきれなくなって
ひきずられた
最後は係の子だけになったが
その子も虫を見ていたことを注意されて
袋につめられた
袋は先生が引きずって歩いた
目的地に着くと
芝生の上にビニルシートを引いて
サンドウィッチを食べた
春の少し柔らかい風が吹いて
周りを涼しくした
その夜
先生は子供の人数分
作文を書いた
袋から子供たちの
笑い声が聞こえてくる
まだ遠足のさ中だった
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