Make it!/マッドビースト
車両の硝子越しに夜の街を眺めてぼんやりと揺られていた
車両が地下にもぐると街が写っていたところに不意に自分の顔が重なって見えた
疲れた顔だ 夏なので汗ばんでいたし
眠そうな目は滲んだ青いアイシャドウの重みに耐えられないように見えた
不意を付かれたとはいえ なんとも情けない顔だと思った
同じ女なのにどうしてお前はそんな涼しい顔をしているのだろう
地下の駅を出て再び地上に出た車両の窓からは
また同じ位置に月が見えた
メーキット メーキット
絡みつく熱帯夜
うまくいかない日々 日々 気がつけばまた夜だ
携帯電話を遠くへ投げ捨ててしまいたい衝動は
だれにでも
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