鳥篭/椎名乃逢
君のその両腕の
美しいのが欲しくって
僕は君を手に入れた
何か勘違いして君は
なめらかに光るくちばしで
調子はずれの歌唄う
とてもとても幸せそうに
うんざりだった不得手な唄に
慣れる程重ねてきた朝が
ある日赤く染まってた
鳥籠の真ん中で 君は赤く染まってた
僕が欲しかった白い翼は
錆びた赤のわたぼこりになって
そこだけ異様になめらかな
光にこびりついていた
自ら啄んだ羽は一体
どんな味がしたのだろうと
頓狂な考えがぐるぐると
調子はずれの節と回り
「新しいのを見つけなきゃ」
うわごとのように呟く僕の
耳の奥 脳の入り口 塞いでる
それはまるで
あの日の君のどことなく
満ち足りていた口元に
くっついて取れなかった
僕の夢の成れの果てのように
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