いとみみず/
 
いとみみず
いつも
ふかみどりのあなたに恋をしていた。
それは、果てなく深い海の色で、光が差すと透き通るみどり色。
いとみみずが水草の泡みたいにみどりにに恋をしてしまって、
近づこうと思ったのだけど、
まぶしさが邪魔をしていっこうに近づくことはできない。
いとみみずが、
「ちかづきたい」、とつぶやくと、
まわりの魚達は、
「終わりになってしまうよ」という。
終わりになってしまうまえに、
深緑がなつになって、水面一面に広がる前に、
いとみみずは魚にたべられてしまった。
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