夕暮れ/
桐嶋 あやめ
あなたのこと見送った後に
何故か涙が ひとつ ふたつ
陽の沈んだ街で別れたあなたの背中が恋しくて
振り向いてもう一度だけ
手を振ってくれたあなたが
涙で滲んだ私の目には
躊躇いがちに見えました
いつもの道 今日からは独り
目の前の影は寂しそうで
みかんを買って左手に提げて
灯りのない部屋に帰ります
いつだってあなたと仲良く過ごしたかった
終わりをもう少し長引かせたかった
泣きながらそれでも笑いました
「あなたと暮らせて本当に楽しかった」
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