誰も見てない/松本 卓也
 
とができず

いつしか僕は現実が夢の続きでしかないと
真剣に忘れたがっていることを思い知った
嘆きを嘯けば理解の差し伸べ手が
肩を叩いてくれるなど幻想なのだ

僕が思うほど誰も僕を見ていない
そんな絶望と安寧を悟りきるまで
あと何度心を砕いていけばいいのだろう
あとどれだけの僕を忘れていけばいいのだろう

雨足が急に強くなってきたから
傘を差している意味さえない
重い体を引きずって歩いて行く先にも
平凡な一日しか待っていないのに
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