種/マッドビースト
もういいと
何時からだろう
硬い殻に閉じこもった
わずかの養分と
わずかの水分とを持って
硬く硬く閉ざした
もういいと
放っておいてと
何時からだろう
光に触れないように
空気に触れないように
硬く硬く閉ざした
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
干からびた種を
掌に載せ
大事に大事に撫でてもし
それを
大地と雨と太陽と時間がそうするように
言葉を持たない種族の悲しみを癒して
芽吹かせることができるなら
それはきっと愛
街に転がっているような
薄いピンクに着色されたような
ポーズやトレンドの一部のような
安っぽい
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